ThinAppリポジトリをWindowsファイルサーバーでホストするケースは多いと思いますが、
冗長化のためにフェイルオーバークラスタを構成するとなると、OSライセンスにEnterpriseが必要であったり、共有ストレージが必要であったりと、どうしてもコストがかかってしまいます。
今回は、Windows Server OSに標準機能として搭載されている『DFS』と『DFS-R』を使ったThinAppリポジトリの冗長化について検証してみましたので、設定方法をご紹介します。
大まかな流れ
1. ThinAppリポジトリを2台用意する。
2. 分散ファイルシステムをインストールする。
3. 名前空間を作成する。
4. フォルダを作成する。
5. DFSレプリケーションを構成する。
実際に構築してみた感想ですが、思った以上に簡単で、オススメです。
リファレンスガイドでも可用性を確保する仕組みとしてDFSが紹介されてます。
それでは、詳細な設定方法を紹介していきます。
まず、DFSの基本概念を理解することが重要です。
名前空間やフォルダーターゲットなど、DFS特有の名称など、よく分からない方はこちらを。
1. ThinAppリポジトリを2台用意する。
冗長構成とするために、2台のThinAppリポジトリを用意し、両サーバーともドメインに参加。
今回は、Windows Server 2008 R2 Standard Editionの仮想マシンを2台用意しました。
※最後に記載してますが、この構成はエディション的にはNGかもしれません。。
2. 分散ファイルシステムをインストールする。
サーバーマネージャーより、[役割]-[役割の追加]の順にクリック。
すでに共有などを有効にしている場合はファイルサービスの役割が有効化されているので、[役割]-[役割サービスの追加]の順にクリック。
役割の追加ウィザードが開始されるので、[次へ]ボタンをクリック。
ファイルサービスを選択し、[次へ]ボタンをクリック。
ファイルサービスの概要が表示されるので、[次へ]ボタンをクリック。
"分散ファイルシステム"を選択し、[次へ]ボタンをクリック。
"後で名前空間を作成する"を選択し、[次へ]ボタンをクリック。
インストールオプションの確認が表示されるので、[インストール]ボタンをクリック。
インストール結果が表示されるので、[閉じる]ボタンをクリック。
3. 名前空間を作成する。
[スタート]-[管理ツール]-[DFSの管理]より、DFS管理コンソールを起動します。
[DFSの管理]-[名前空間]の順に選択し、右クリックメニューの"新しい名前空間"を実行します。
名前空間サーバーを指定する画面が表示されるので、[参照]ボタンよりを追加します。
追加したら、[次へ]。
※ここでは1台のみ追加可能です。2台目以降は後で追加します。
名前空間を入力し、[次へ]ボタンをクリック。
"ドメインベースの名前空間"を選択し、[次へ]ボタンをクリック。
設定の確認画面が表示されるので、[作成]ボタンをクリック。
設定が完了したら、[閉じる]ボタンをクリック。
2台目以降の名前空間サーバーは、作成した名前空間を選択し、右クリックメニューの
"名前空間サーバーを追加"より追加します。
4. フォルダを作成する。
作成した名前空間を選択し、右クリックメニューの"新しいフォルダー"を実行します。
フォルダー名を入力し、フォルダーターゲットを追加するために[追加]ボタンをクリック。
フォルダーターゲットへのパスを入力し、[OK]ボタンをクリック。
指定したフォルダーターゲットが存在しなければ警告画面が表示されるので、作成するために[はい]ボタンをクリック。
共有の作成画面が表示されるので、[参照]ボタンを押して物理的なフォルダーを指定します。
フォルダーターゲットとなるホストのエクスプローラが表示されるので、所定のフォルダ(新しいフォルダーの作成も可能)を選択し、[OK]ボタンをクリック。
共有フォルダーのアクセス許可を確認し、[OK]ボタンをクリック。
同様の手順でもう1台のフォルダーターゲットを追加し、[OK]ボタンをクリック。
5. DFSレプリケーションを構成する。
フォルダーターゲットの追加を完了すると、レプリケーショングループが存在しないメッセージが表示されるので、[はい]ボタンをクリック。
レプリケートフォルダーウィザードが開始されるので、グループ名などを確認し、[次へ]ボタンをクリック。
レプリケーションメンバーが自動的に選出されるので、[次へ]ボタンをクリック。
プルダウンメニューよりプライマリメンバを選択し、[次へ]ボタンをクリック。
トポロジを選択し、[次へ]ボタンをクリック。
※レプリケーションメンバー数に応じて選択できるトポロジが異なります。
レプリケーションの動作(帯域、時間)を制限したい場合は設定し、[次へ]ボタンをクリック。
設定内容を確認し、[作成]ボタンをクリック。
レプリケートフォルダーウィザードが正常に完了したことを確認し、[閉じる]ボタンをクリック。
レプリケーション遅延に関する情報が表示されるので、[OK]ボタンをクリック。
ここまでの手順でDFS/DFS-Rの構成は完了です。
ThinAppリポジトリの登録やアプリの格納方法については、前回の投稿を参考に。
ThinAppアプリを起動、アクセスしているファイルサーバー(末尾216)を確認。
アプリケーション起動中に障害が発生するとアプリケーションがハングしてしまいますが、、
これはThinAppの仕様(ストリーミングモード時)です。。
※今回の検証では疑似障害としてシャットダウンしました。
アプリを強制終了し、再度起動すると問題なくアプリケーションが起動出来ます。
もちろんアクセスしているファイルサーバーはもう1台の方(末尾214)になっています。
追伸
今回の検証では2台のファイルサーバーをWindows Server 2008 R2 Standard で構成し、DFS/DFS-R、DFS-Rで差分転送に使用されるRDCについても問題なく動作しています。
が、こちらにある通り、RDCはサポートされるOS/エディションが限定されるようです。。
Windows Server 2008 R2 Standard は未サポート。。!?orz
一方で、こちらのサイトではDFS-Rは、Windows Server 2008 R2 のすべてのエディションで
サポートされる、との記載もあるので、いずれを信じればよいのやら。。
今回はThinAppリポジトリとしてDFS/DFS-Rを構成しましたので、差分転送が出来ないくらい特に問題ないと思いますが、『Windows Server 2012 R2 Standard』で構成しておけば
大丈夫そうなので、これから構築される方はどうぞ『2012』で。
0 件のコメント:
コメントを投稿