2015年8月5日水曜日

移動ユーザープロファイルからPersona Managementへの切り替え方法

Horizon Viewにおいてユーザープロファイルをファイルサーバーなどに外部保管する仕組みとして、一般的なのは「移動ユーザープロファイル」ですが、ログオン/ログオフ時にプロファイルがダウンロード/アップロードされる仕組みのため、毎回リフレッシュ(初期化)するようなリンククローン環境だとプロファイルのサイズによってログオン/ログオフに時間がかかります。

そんな時に是非試して頂きたいのが、「Persona Management」です。

Persona Managementは、移動ユーザープロファイルとほぼ同じ仕組みですが、ログオン/ログオフ時の待ち時間の低減や一斉ログオンなどで集中するストレージ負荷を低減するために、定期的かつバックグラウンドでデータを転送するのが特徴です。

ログオン時にはすべてのプロファイルを一気にダウンロードするのではなく、ログオンするために必要な最小限のプロファイルのみダウンロードし、ログオン処理を完了させ、残りのデータはバックグラウンドでダウンロードを行います。また、更新されたデータを定期間隔でアップロードを行い、ログオフ時にアップロードされるデータ量を低減することで、ログオフ時間を短縮します。バックグラウンドでダウンロードされるデータなどはユーザーによってバラバラですので、一斉ログオン時などで集中するI/Oも分散出来るという仕掛けです。

Horizon View Standardから使える標準機能ですし、追加でサーバーを構成する必要もありませんので、現在移動ユーザープロファイルで運用されているのであれば追加コストなしで、Persona Managementに切り替え可能です。

ということで、今回は「移動ユーザープロファイルからPersona Managementに切り替える方法」について紹介したいと思います。

ちょっと長文になってしまいましたので、ご興味のある方は続きをどうぞ。


まず、移動ユーザープロファイルとPersona Managementの違いをチェックしてみましょう。

保管出来るデータは、移動ユーザープロファイルもPersona Managementもほぼ同じです。
※基本的にはC:\Users\%username%以下のユーザープロファイルが対象です。
 アドレス帳
 デスクトップ
 ドキュメント
 ダウンロード
 お気に入り
 ミュージック
 ビデオ
 ピクチャ
 検索
 AppData
 リンク
 保存したゲーム
 ユーザーレジストリデータ

保管する対象を限定したり、個々のフォルダごとに保管先を変えたりということは出来ません。
「フォルダリダイレクト」を使えばフォルダごとに保管先を変えることも出来ますが、こちらはまたの機会にご紹介出来ればと思います。

次に、設定についてですが、移動ユーザープロファイルは「ユーザーアカウント」のプロパティで設定します。

一方、Persona Managementはグループポリシーで設定します。

My VMwareからダウンロード出来る「VMware-Horizon-View-Extras-Bundle-3.4.0-2769709.zip」の中にPersona Management用のADMファイル(ViewPM.adm)があります。

これをドメインコントローラにインポートすればグループポリシーでの設定が可能になります。

[コンピューターの構成]-[ポリシー]-[管理用テンプレート]-[従来の管理用テンプレート(ADM)]-[VMware View Agent Configuration]-[Persona Management]-[Roaming & Synchronization]で設定します。

最低限設定が必要な項目としては以下の2つです。

Manage user persona
PersonaManagementを利用するかどうかとバックグラウンドで転送する間隔を設定します。
デフォルトパラメータは、未構成(Personaは無効)で転送間隔は10[分]です。

Persona repository location
PersonaManagementによってプロファイルを保管する場所(共有フォルダ)を設定します。
すでに移動ユーザープロファイルを構成しており、同じパスを使ってPersona Managementを構成する場合には本パラメータは設定不要です。
デフォルトパラメータは、未構成(移動ユーザープロファイルパスを利用)です。

お気付きかもしれませんが、Persona Managementは[コンピューターの構成]ポリシーです。

そのため、おそらくは仮想デスクトップをリンククローンで展開されているケースが一番多いと思いますが、コンピュータオブジェクトが登録されるOUが複数存在し、そのいずれの環境にもログオンするようなユーザーがいると、ログオンするデスクトップによってプロファイルが違う、といった弊害が発生してしまいます。

Persona Managementを構成する場合、コンピュータオブジェクトログオンするユーザー、それぞれが所属するOUと割り当てられているグループポリシーを把握することが重要です。

Prsona Managementでは基本的な設定に加え、移動ユーザープロファイルでは定義出来ない除外リストや事前にダウンロードしておきたいフォルダのリストなど、柔軟なカスタマイズも可能です。詳細は以下のドキュメントをご参考下さい。

移動と同期に関するグループ ポリシー設定
https://pubs.vmware.com/horizon-61-view/index.jsp#com.vmware.horizon-view.desktops.doc/GUID-3C3E97C6-32D9-44A9-A1D9-4B88604CE35B.html

前置きはこれくらいにして、、本題である移動ユーザープロファイルからPersona Managementに切り替える方法ですが、ものすごく簡単です。

先にご紹介した[Manage user persona]でPersona Managementを有効にするだけです。

[Persona repository location]の設定を行わない場合、移動ユーザープロファイルで指定されているパスがそのまま利用されます。
仕組みだけがPersona Managementに切り替わるという感じです。

これだけの切り替えでもいいと思いますが、このままだとPersona Managementを有効にした後で追加されたユーザーアカウントなどでプロファイルパスをAD側で指定しなければローカルプロファイルとなってしまうので、可能であれば[Persona repository location]も設定しておいた方がよいと思います。

ただし、[Override Active Directory user profile path if it is configured.]には、チェックを入れないことをオススメします。
# もちろん用途によってはチェックを入れる必要があるのですが。

このパラメータは、移動ユーザープロファイル側で設定しているパスがある場合、Persona Management側のパス設定で上書きするというパラメータなのですが、こちらを有効にした状態で移動ユーザープロファイルとPersona Managementのパスが異なる場合、Persona Management側で設定しているパスに「新しく」プロファイルが作成されます。

下の画像は実際に2箇所にプロファイルが作成されて切り替わってしまったデスクトップですが、左側が移動ユーザープロファイル、右側がPersona Managementです。

移動ユーザープロファイル側で設定しているパスに格納されているプロファイルが消えてなくなる訳ではありませんのでご安心を。データをコピーして移行すれば問題ありません。

最後に、大前提ですが、Persona ManagementはView AgentのコンポーネントとしてVMware Horizon View Persona Managementがインストールされている必要があります。
デフォルトインストールされますが、うまく動作しないと言った場合には念のためご確認を。

今回ご紹介しましたPersona Managementは、今のところVDI方式(Desktop/Server VDI)限定で、RDSH Desktop/Application上では現在利用出来ません

移動ユーザープロファイルやフォルダリダイレクトはWindows標準機能のため利用可能ですが、Windows Server 2012のリモートデスクトップサービスからは「ユーザープロファイルディスク」という、ユーザー毎にVHDを作成してマウントし、プロファイルをリダイレクトするというApp Volumes(Writable Volume)のような機能が追加されています。
# まだ細かいところまで確認出来ていませんが、RDSH Desktop/Applicationでも使えました。

VMwareという観点では、App VolumesやUser Environment Managerなど、ユーザー環境を如何に効率よく管理・運用するのかという観点での製品強化が目立ちますし、Windows8以降で利用可能なMicrosoftアカウントによる設定同期(まだまだ項目少ないですが…。)を行えば何も気にしなくてもよい世界になるかもしれません。

日々進化し続けるユーザープロファイル管理の仕組みに興味が尽きませんね。
それぞれ一長一短はあると思いますので、いろいろ試してまたご紹介出来ればと思います。

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